社員の挑戦を知る

HR領域のデータ活用の醍醐味。
人事が起点となり、事業成長を。

人事企画 マネジャー 安食健太郎

離職率低下につながるメカニズムを解明せよ

厚生労働省の雇用動向調査では、2017年度、日本全体の平均離職率は14.9%。新入社員の入社3年以内での早期離職率は、依然として3割超。離職率・早期離職率をいかに下げるかは、労働力人口が減少し続けていく日本にとって、解決すべき重要なテーマです。またこの問題は、私個人としても、どうにか解決したいと強く願っていた背景がありました。私は大学卒業後、ある大手企業へ入社。しかしその会社は当時、学閥の影響がまだ色濃く残っており、やる気に満ち溢れていた同期の仲間は次々と辞め、ついに私も3年で退職。人事制度や組織運営の重要性を痛感した私は、HR領域でコンサルティング業務を行うベンチャー企業へ転職し、そして3社目に選んだのがリクルートキャリアでした。私は、一人ひとりが持ち味を生かしながら活躍できる環境を整えることがどれほど大切かという想いを、社会人となってからずっと膨らませ続けてきました。企画に異動して3年目に「エージェント事業部の組織コンディションを改善せよ」というミッションをもらったときは、ついに来た、とも感じました。2016年のことでした。当時、事業部の離職率は世の中の平均値と比べ、決して高い数値ではありませんでしたが、コストをかけて採用し、育成した人材が流出していくことは、事業の成長を考えると企業にとって大きなデメリット。もちろん、ポジティブな転職は心から応援したい、でも、ネガティブな理由での転職は1つでも多く減らしたい。そんな想いを、プロジェクトメンバーたちと共有しました。

安食健太郎

データが、組織の自律的アクションを促すまで

まずやるべきなのは、現状の可視化。様々な可視化手法を探るなか、組織のコンディションを今最も正確に測れると言われているeNPS(Employee Net Promoter Score)を選択しました。米国の有名IT企業が活用したことがきっかけで広く知られるようになった手法で、「親しい友人や家族に、自社を薦めたいですか?」という問いを従業員に投げかけ11段階評価で答えてもらうものです。当初の私は、信じていました。eNPSで組織の現状を可視化し、それを現場に伝えれば、おのずと変化が生まれると。しかし、eNPS導入からどれだけ月日が経っても、eNPSスコアはあがらず、組織には何の変化も訪れませんでした。解決の糸口を探るため、プロジェクトメンバーの皆で現場に足を運び、一人ひとりの声を聞きました。そして見えてきました。足りなかったのは、現場の“納得感”でした。「eNPSでやりたいことはわかる。でも新しいことをする時間がない」「達成すれば組織は活性する、それが何よりも重要では?」「こういう施策って長続きしないのでは?」、そんな声が聞かれました。しかしそこで、頓挫させるわけにはいきませんでした。退職者とeNPSスコアとの相関が非常に強いことが、データでわかっていましたから。そして決意しました。現場の一つ一つの声に、納得のいく回答を提示していこうと。考え得る策を次々と講じていきました。「eNPSと業績の関係性を、データで丁寧に紐解く」「eNPSと顧客満足度との関係性を可視化する」「eNPSだけで説明が困難な場合は、組織論を元にした補足指標を付ける」。そして、「データの力を使いながら粘り強くeNPSを追いかける意味を現場に伝え続ける」ことを徹底しました。また、役員会、マネジャー会議、社員総会など、あらゆる場面でeNPSについて話し合う機会を設けてもらうことを徹底。地道ながら、決してプロジェクトの熱を冷まさない取り組みを重ね続けました。変化が現れ始めたのは2年が経った頃。現場の各部署で、自発的にeNPSを向上させる取り組みが生まれだしたのです。eNPSの結果を元にした部戦略や、職種間コミュニケーション施策の検討など、あらゆる施策が自走して動き始めました。可視化するだけでは何も進まない。でも、可視化された事実に対して現場の“納得感”がともなうことで、自律的な大きなエネルギーが生まれる。それを目の当たりにしました。結果的に離職率は半減、さらにこの年、リクルートキャリア史上最高の売上げを記録しました。

安食健太郎

データは従うものでなく、活かすもの

一連の取り組みは、多くの企業から注目をいただいています。外部セミナーに登壇する機会も数多くいただき、組織人事に関わる仕事をされている方々から日々、問合せをいただきます。大きな反響は、HR領域でデータを活用することの難しさや、どれだけ多くの企業・組織がこのテーマに頭を悩ませているのかの現れだとも感じます。今回の取り組みが伝播することで、広くこの国の企業の組織活性、ひいては離職率低下のきっかけになれば嬉しいです。AI・ビッグデータ時代に入り、データドリブンという言葉があらゆる業界で注目されるようになりました。HR領域でもデータ活用はますます重要になっていきますし、組織活性に有益なデータも飛躍的に増えていくでしょう。ただしHR領域でのデータ活用は、他領域と比較し、決して一筋縄にいかないことが特徴であり、面白さだと私は感じます。たとえば、Webマーケティングの世界でABテストなどをやった際には、データが導き出した答えに従うだけでも成果を出せるかもしれません。でも、HR領域ではそうはいかない。なぜなら、そこに“人”がいるからです。人の“納得”があって、初めてデータを活かした“動き”が生まれてくるのです。その意味では、人事領域の仕事はますます難易度が高くなっていくでしょうし、データドリブンを本当の意味で実行できる人事のスペシャリストはその市場価値も高まっていくはず。もっと言えば、日本の人事部を志すリクルートキャリアには、世界的にも希有な膨大な情報と向き合える環境がありますから、<HR×データ>という観点で誰より成長を果たしたい人には、うってつけの場所だとも思いますよ。

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